ふーめーきんと学ぼう!! ③「生物と性別の数」

どうも、ふーめーきんです。
遂に来ました理系科目!
今回は理科から生物の話題を扱います!!
ただ、ちょっと今回は内容的に
性的な要素を含むかも知れません…
1、はじめに
生物学上、生き物には性別があります。子供を産む方を雌、そうでない方を雄と定義されています。そして、アメフラシなどの「雌雄同体」というものは雄と雌の役割を一人で担っていて、こちらはまた別の性となります。
生き物にとって「生殖」というのは非常に重要な意味をもちます。生殖のためにわざわざ川を上ったり、数時間の中で交尾してそのまま死んでしまったり、行為が終わった瞬間に雌に食べられたり、雌に食らいついた後段々と雌の一部になっていったり…なんだか雄が不憫な奴らが多いような気もしますが、それほど本気な生き物が多いのです。
唐突ですが、あなたが滅茶苦茶子作りしたい衝動に駆られながら荒野を歩いているとします。すると、向こうから人が歩いてくるのが見えました。あなたが駆け寄るとその人はあなたと同じ性別でした。その時あなたはどう思いますか? それでもいいという人もいるかも知れませんが。
こういう事が起こらないようにする為に幾つかの生き物は2通りの方法を見つけました。1つは雌雄同体。これで出会って即H、ということが可能になります。そして、もう1つが「性別を増やす」という事です。確かに、性別を増やすことで自分とは違う性に出会える可能性は更に増えるでしょう。理に適っていますね。
1年前の話ですが、三重大学の教授の講演に行ったときに「タイワンシジミ」という貝にまつわる研究の話を聞くことが出来ました。曰く、元々雌雄同体しか存在しなかったタイワンシジミの中に雄としての生殖機能しか持たない個体が出てきたとか。性別が増えるってやはりすごいですね。 人間にもそういう能力無いかな…
ということで、今回は生き物の性別の数を一緒に見ていこうと思います。但し、ここで前提として以下のことに留意してください。
性転換する生物は雌もしくは雄とする
雄雌がはっきりしているので含みません。TS娘とふたなりが違うのと同じです。
さて、お待たせしました。それでは始めましょう。
2、性別が1つ~3つの生物
・1つ(該当:カタツムリ、アメフラシ、ミミズなど)
基本的に雌雄同体な生物です。生殖の方法として、ミミズやカタツムリは2体が行き違うように逆向きに並んで互いの精子を雌性器に注入し合う、所謂69みたいになって交尾します。他にも、ヒラムシのようにどちらが先に相手を掘るか競ったり、アメフラシのように左右にある雄性器をこれまた左右にある雌性器に挿入した方が雄の役割をしたりします。しかし、アメフラシの場合はその後ろから更に別のアメフラシが雄として交尾をして数体が数珠繋ぎになる、なんてことも。
基本的に、と書きましたがもちろん例外もあります。ギンブナと呼ばれる魚は全て雌で、卵を産むと母親と同じ遺伝子をもったクローン鮒が生まれます。こちらは生存戦略の有利な点として、有性生殖個体と比べるとオスを作らない分だけ増殖率が高い、という点が挙げられます。
・2つ(該当:ヒトなど)
ヒトを含む沢山の生き物がここに含まれます。基本は雄と雌ですが、上述のタイワンシジミや線虫のように雄と雌雄同体の2つといった場合もあります。あと性転換する生物も殆どここに分類されると思います。
あと、「雌雄同体」と打つのが面倒なのでここからは「ふたなり」と呼称します。
・3つ(該当:Eulimnadia texanaなど)
…何だかよくわからない文字列が出てきたと思いますが、これは学名です。これは北アメリカの乾燥地帯に生息するエビの仲間で、その性別は「ふたなり」「ふたなり」「雄」の3種類です。因みに誤植ではありません。本当に「ふたなり」が2種あるんです。
皆さんは「メンデルの優勢の法則」をご存じでしょうか?優性遺伝子を持つ植物(AA)と劣性遺伝子を持つ植物(aa)を掛け合わせると生まれてくる植物はすべて優性(Aa)である、という感じです。これと同じことがこの生物にも起こっていて、「ふたなり(SS)」「ふたなり(Ss)」「雄(ss)」と表されます。但し、SSとss、Ssとss、SSのみ、Ssのみの組み合わせでしか生殖できません。わかりやすく書くと「ふたなりと雄、もしくはふたなり一人で生殖できるけど、ふたなり同士や雄同士では無理」という感じですかね。
同じく3つの性別を持つのがAuanema種という2019年に発見された線虫の一種です。先ほど線虫には「雄」「ふたなり」の2種があると書きましたが、この仲間は「雄」「雌」「ふたなり」の3つが存在します。それだけではなく、なんとこの種は子供を出産することで子孫を残すようです。普通、線形動物は卵を産んで繁殖するので、非常に珍しい特徴ですね。
Auanema種が生息しているのは米カリフォルニア州、イースタン・シエラにあるモノ湖というアルカリ性(㏗10)の湖です。更にここは塩分濃度が海水の3倍高く、とても生物が生きていける環境には見えなさそうですが、Auanema種以外にもアルカリハエ(Ephydra hians)など幾つかの生き物が暮らしているようです。

さあ、どうでしょうか?
まだ3種の性別しか見てないのに
だいぶカオスですね…!
ここからは4つ以上の性別を持つ
生き物を紹介していきますよ!!
3、性別が4つ以上の生物
・4つ(該当:ノドジロシトド)
ノドジロシトドはスズメ目ホオジロ科に分類される鳥の一種で、ノドジロシトドには雄と雌の2種、そして頭に白いストライプが入ったものと、褐色のストライプが入ったものの2種が存在します。つまり、
頭に白いストライプが入った雄
頭に褐色のストライプが入った雄
頭に白いストライプが入った雌
頭に褐色のストライプが入った雌
の、4つが存在するという事です。
ちょっと難しい話になりますが、白いストライプが入っている方は、2番染色体のペアのうち一方に「まるで誰かがハサミで染色体を切り取って、逆さにしてはめ込んだような」逆転が見られるとのこと。このように染色体が変異することで白いストライプのノドジロシトドは、同一染色体上にあり遺伝的連鎖によって親から子へと受け継がれる「超遺伝子」という遺伝子を持つことになります。
さらに、白いストライプの雌は褐色のストライプの雄としかつがいにならず、また逆も同じようになっています。つまり、普通は「雌雄」という2つの個体から組み合わせができますが、ノドジロシトドは4つの要素からつがいとなる個体を決めることとなり、「4つの性別がある」と言えるような状態になっているわけです。
・7つ(該当:テトラヒメナ好熱菌)
水中に生息する繊毛虫で、体長は 30-100 μm 程度の小さな生き物です。ですが、単細胞の割にヒトに匹敵する遺伝子を持っているという所からも想像できる通り、かなりのトンデモ生物です。
テトラヒメナ好熱菌の交配は、2匹の異なる性別のDNAを交換することにより行われますが、この交配結果はまさかの完全ランダムであり、性別1と性別3が交わったら性別6が産まれた、なんていう場合もあるそうです。 モンハンのマカ錬金みたいだなぁ…
性別の多さの理由は、日々の生活を統括する「体細胞」ゲノムと生殖機能に関連する「生殖細胞系列」ゲノムが2重になっている点です。生殖細胞系列のゲノム細胞には、それぞれ6、7の性別についての不完全な遺伝子が含まれているそう。
2匹が交配するとき、子孫の新しく作られた体細胞のゲノムはその不完全な遺伝子のうち1つを得て、1つの完全な遺伝子を生み出します。そしてランダムな再編成により細胞は新しい1つの遺伝子と1つの性別となる、といった具合です。やっぱりゲームシステムみたいな発生してますよねこの好熱菌。
・十数種類~数十種類(該当:ゾウリムシ)
言わずと知れた微生物です。ゾウリムシには「接合型」という仕組みがあります。自分と同じ接合型のものとは接合しない、というルールで、人間でいう「性別」に当たると考えることができます。そしてゾウリムシの種類によっては接合型が沢山ある場合もあります。
要するに、接合子を持っているレベルの生物であれば、性別がやたらたくさんあって、自分と違う性別であればどれとでも生殖可能、ということです。例えばもし50種類性別があれば、たまたま出合った別個体が「異性」である確率は98%となりますね。ヒトに例えると、40人1クラスの場合自分を除いた全員がほぼ異性になる計算になります。
ただ生殖において、接合できるようになるまで50回以上の細胞分裂を行わなければならない(性的に熟成していなければならない)という条件があるそうです。結構ハードですねこれ。
・720種類(該当:モジホコリ)
こちらは単細胞の粘菌の一種…なのですが、先述のテトラヒメナ好熱菌に負けず劣らずのかなり特異な能力を持った生物です。まず植物でも動物でも菌類でもなく、分裂して別の個体になったり、融合して元に戻ったりすることもでき、時速4センチの速度で這い回り、半分に切断されても2分で自己修復できる、という驚愕の生態をしています。さらにコイツは脳が無いのに何故か学習能力があり、最短距離の発見や環境の変化の予測などの問題解決力、1年経っても自分の行動を覚えている記憶力など、最早チートを疑うような能力を多数持っています。 転生したらモジホコリだった件
モジホコリの性別は複数の変種体に表れる一連の遺伝子によって決まります。モジホコリは胞子を放出することで繁殖しますが、その胞子が生殖細胞になります。生殖が成功するには、この遺伝子の変異体を持つ2つの生殖細胞が出会えばいい、という事です。
一応弱点は光と乾燥の2つですが、生存が脅かされると何年もの間冬眠することもできるようなので、やっぱりチートなんじゃないですかね。
・27,000種類以上(該当:スエヒロタケ)
今回のトリはキノコです。因みに桁は間違っていません。これで合ってます。
スエヒロタケはスエヒロタケ科スエヒロタケ属の菌類です。世界でも最も一般的なキノコの一つで、南極大陸を除く全ての大陸で発見されているキノコです。日本に自生しているものは食用には向きませんが、毒は無いので一応食べられるようです。しかし胞子が免疫力の極端に落ちた肺に入ってしまうと、極稀にアレルギー性気管支肺真菌症を引き起こすこともあるようです(肺スエヒロタケ症)。
さて、スエヒロタケの性別の決定方法ですが、日本語で書かれているものが見つから無いので、ここに書いてある情報が間違いの可能性があります。予めご了承下さい。
いくつかの菌類では、交配タイプを決定するために2つの遺伝子を使って進化が起こりました。これらをAおよびB遺伝子とします。そしてA、B各遺伝子に2つの対立遺伝子があり、交配のために2つの菌類が集まっていると仮定して、最初の親株をA1B1として、2番目の親株をA2B2とします。この菌類は交配タイプが両方の対立遺伝子で異なる場合に交配を行うことができます。
A1B1×A2B2
A遺伝子同士、B遺伝子同士では結合しないので、減数分裂中に独立した分類が行われ、この交配で生まれてくる子供は次のいずれかになります。
A1B1、A2B2、A1B2、A2B1
ではスエヒロタケはどうなのかというと、A遺伝子には300以上の対立遺伝子が、B遺伝子では90以上の対立遺伝子があることが知られています。従って、AとBの組み合わせは
300×90=27,000、そんな訳で性別は27,000以上(ソース元では28,000以上)、となります。そして、スエヒロタケが同性に出会う確率は0.0037%以下、もうほぼ一生出会うことは無いでしょう。スエヒロタケは同性以外なら生殖できるので、出会って即受精となることができるのです。
4、まあ、それはそれとして
最初の説明を読んで、じゃあ何で人類を含む大多数の生物の性別は2つなんだ、と思った人がいると思います。これはどうしてかというと、遥か昔に私たちの祖先が「卵」と「精子」というふうに役割を分業したほうがより多くの子孫を残せたので、このやり方が生き残って来たのだろうと考えられています。今回紹介した生き物たちもそれぞれのやり方が成功したからこんなヘンテコな繁殖方法をとる訳なんですね。
生物は絶えず進化します。タイワンシジミのように女性器をもたないふたなりが出現したように、人間もいつか肉体的な性別が増える時が来るのかもしれません。個人的にはそんな日が来たら見てみたいなと思います。まあ、それまでに絶滅していなければの話ですが。

はい、今回はここまでです!
いやー、好きな物を調べられるって
とってもいいですね!
次回も生物でやりたいなぁ…
……駄目?駄目か…
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